とある会社員エンジニアと裁量労働制

最近は裁量労働制の職場も増えてきましたね。職場が裁量労働制を導入した、もしくは、転職先が裁量労働制ということもあるのではないでしょうか。そこで今回は、まずは裁量労働制の基礎を説明し、次にとある架空の会社員エンジニアのAさんの例を3つ取り上げます。最後にトラブルに会った時の対処例をあげてみます。

内容に間違いがないように注意して書いていますが、法律は変わったりすることもありますし、私は専門家ではありませんので、実際に労使トラブルにまきこまれた時はちゃんと労働基準監督官などの専門家に確認するようにお願いいたします
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裁量労働制の基礎知識

裁量労働制とは「労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度」です。仕事のやり方に裁量があるから裁量労働制というわけではありません。ものすごくざっくり説明すると、1時間だけ働いても12時間も働いてもどちらも8時間労働したとみなす制度です(8時間は例です)。適用対象は細かく法で定められていますが、労働時間と成果が比例するわけではない業務が対象となり得ます。

この裁量労働制には「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。普通のエンジニアの場合は専門業務型のはずです。もし企画業務型の場合はかなり怪しいので注意しましょう。

ちなみに企画業務型とは「業務が事業の運営に関するもの」であることが条件です。要するに会社をコントロールするレベルです。転職してきたばかりのひとに任せるようなことはめったにないかと思います。厚生労働省謹製の企画業務型裁量労働制の資料は下記の通りです。

厚生労働省 企画業務型裁量労働制の適正な導入のために

専門業務型裁量労働制の資料は下記の通り。

厚生労働省 専門業務型裁量労働制の適正な導入のために

では、架空の人物Aさんの例をみてみましょう。

ケーススタディその1

ここにAさんという平社員エンジニアがいたとする。Aさんは都内勤務であり、誰も幸せにならない通勤ラッシュを避けて出社したいと考えている。そこで、Aさんが労働契約(労働協約)を確認したところ、下記の契約であった場合、Aさんは通勤ラッシュ地獄の9時に出社することを回避することが可能か。可能ならばその方法を述べよ。

  • 企画業務型 裁量労働制
  • 勤務時間は09:00-18:00とする
  • ちなみにAさんは引きこもりな気の小さいしがない技術屋とし、モテないのでそろそろ犬か猫かうさぎが飼いたいです

    ケーススタディその2

    裁量労働制の職場で働くAさん。裁量労働制なのに「コアタイム 09:00-18:00」という謎仕様のため、仕事が終わってるのに18:00になるのを時計チラチラみながら待ってる同僚や、(連絡したのに)09:01出社で怒られる同僚をみて、これはやっぱあかんのではと思い始めたとする。

    プログラミングしか能のないAさんは、労働相談所を経て、労働基準局の方面窓口へ行って監督官(偉い人)に労働協約書について話をした。そこで「通常ありえない内容です」「あなたは裁量労働制適用者ではないはずです」の旨を言われる。

    「そんな馬鹿な!」と思い後日、労働組合に確認すると「いえあなたはちゃんと裁量労働制適用者です」との回答。ホッとしたところで「じゃあ部署の役職者にちゃんと裁量労働制のルールを周知してね」と依頼。

    これで普通の裁量労働になるわいと油断していたAさん、まさか労働組合が匿名でなくAさんの実名を出して会社部署側に申し入れをするとは思わない。というか全て筒抜けの模様。お抱え組合の闇

    結局、朝一で「お前、組合になんかいったらしいな」と偉い人に呼び出されたAさんの泣き寝入りする確率を求めなさい。ここで、Aさんはなんかもう一周回って楽しくなってきたのでわりと強く生きていけそうな気がしてきてるものとする。またひとつ労基法に詳しくなった気もする。やったぜ。

    ケーススタディその3

    「コアタイム 09:00-18:00」という謎の裁裁量労働制で働くAさん。お抱え組合や総務&上長の妨害にあい、なかなか正しい裁量労働制を実施できずにおり、Aさんは再度、労働基準監督官に話をしに行ったものとする。

    そこでの監督官の発言は下記のものであった。

  • 「法に則るように会社に指導はできますよ」
  • 「匿名での通報があったということにもできます」
  • 「でも残念ながらほぼ確実にあなただとバレますよ」
  • 「法的には、労基への通報者に不利益になるような扱いはしてはならないと定められていますが、報復の可能性は高いです」
  • けっきょくその報復の問題でまたここに来ることになるのではと思います」
  • ……あまりにも無慈悲な監督官の言葉がAさんを襲う!

    しかしアホなAさんは「おう上等じゃ!指導したれや!それで正しい裁量労働制が実施されるなら!この俺が犠牲になろうじゃねえか!」と啖呵を切ります。

    すると再度、監督官が口を開きます。

  • 「指導するとなると、そもそも企画業務型の裁量労働制という時点で違法ですね」
  • 「企画業務型というのは、会社の事業運営に関わるような人たちのことで、役員レベルのようなイメージです」
  • 「異業種からの転職でいきなり企画業務型なんてありえないんです」
  • 「ということでもし指導すると、そもそも裁量労働制自体を取り消させなければいけないので、あなたはけっきょく09:00-18:00の通常勤務採用になります」
  • 「ほんとうに指導していいですか?」
  • このあとのAさんの「….いえ指導は結構です」という絞り出すような返答の音量をデシベル単位で答えなさい。
    また、この件を通じてAさんが人間的に強くなる可能性を答えなさい。

    トラブルがあった時の対処法

    不幸にしてAさんようなトラブルに見舞われた場合、どうするべきか。私見を述べます。あくまで素人の私見なので参考までに!

    まずは証拠の確保

    以下、私見です。いよいよの時はちゃんと専門家にご相談を!

    裁量労働制の運用に疑義を持ったら、その証拠を押さえましょう。

    まずは就業規則&労働協約書ですね。これらのどこかに裁量労働制について記載があるはずです。Aさんの場合は労働協約書に「勤務時間は09:00-18:00とする」と記載があったので、それがアウトですね。

    紙に印刷できる形式でしたら該当箇所を印刷しておきましょう。ちょこざいにも印刷禁止に設定されていたりした場合は、スクリーンショットを駆使して印刷しましょう。あとあと労働基準局にたれ込む時には、紙で持っていた方が説明が楽です。

    ほかに証拠があればそれも押さえておきましょう。Aさんの場合だとがっつり管理されている出勤時刻&退勤時刻の表とかですね。就労時間の管理自体はOKなのですが、09時に遅れるとアラートが出るようなシステムだったら、それはおかしいので証拠確保です。これも紙に印刷できるならそうしましょう。

    あと、最近のスマホは標準でボイレコが入っているそうですね。私は使ったことありませんが。そこまでやっていいのかはちょっと判断がつかないので。。。どうなんでしょうね。

    労働相談所

    次に労働相談所へ行ってみましょう。名前の通り相談に乗ってくれるところです。無料です。
    相談所自体には、会社を指導するような強い権限はありません。ですが「これはどうみてもあかんな」と判断されれば労働基準監督署を紹介してくれます。いきなり労基にいってもなかなか話が進まないので、まずは相談所で話をしてみることをお勧めします。

    本当にアウトの場合は「労労働基準監督署の方面という窓口へ行って労働基準監督官にあわせてください、と言ってください」のような指示があると思います。

    労働相談所がどのような機関かは下記のサイトをご覧ください。

    厚生労働省 労働相談所のご案内

    労働基準監督署

    労働基準監督署には、監督官という偉い人がいます。その人が「あかんな」といえば、企業に是正が入るそうです。めちゃくちゃ分厚い法律かなんかの辞書を持って現れます。できる人オーラがすごいです。

    ここでは、自分の目的と、その根拠を簡潔に説明する必要があります。Aさんの場合だと「裁量労働制なのに労働時間を指定されている。それをやめさせたい。労働時間を指定されている根拠は労働協約書にある」といった感じですね。アワアワしていると向こうも困ってしまうので、ある程度、資料や話の持っていき方を整理してから向かった方が良いかと思います。

    ここでダメだったら、うーん、次はどうすればいいんでしょうね。。。私にはわかりません。。。

    労働組合

    もし労働組合があればそこに相談するのも手ではあります。毎月、結構な額を労働組合費として天引きされていますからね。組合によりますが額面から数%ほど持っていってるかと。
    ただ、お抱え組合の場合、Aさんみたいなことになります。最悪です。毎月、給与の額面の3%くらい組合費を払うのが嫌になりますねほんと。ほんとに。でもまあ、普通はそんなことしないと、思いますけども。はい。普通は。。。

    組合があるなら、とりあえず「執行役員」という肩書きを持った社員がいると思いますので、その人へ相談する流れになるかと思います。あとは、うん、頑張ってください。。。

    まとめ

    架空の人物Aさんの例をもとに裁量労働制について見てみました。エンジニアなのに企画業務型だった場合は要注意です。とりあえず困ったら労働相談所などに相談してみるのが良いかと思います。

    念押しですが、Aさんは架空の会社員です。いいね?

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